①荒野肉桂(こうやにっけい)
産 地:仙店村
特 徴:無人の荒野で育った茶葉を使用した、力強く個性的で透明感のある滑らかな茶湯に、岩韻と花香が調和する深い香り。濃厚な味わいとスパイシーさ、小さなシナモンの風味が余韻を引き立て、しっかりとして香り高く芳醇な味わいです。
②正岩奇蘭(せいがんきらん)
産 地:蓮華峰
特 徴:華やかな香りとまろやかな味わいを併せ持つ岩茶です。蜜のような甘さと蘭を思わせるやさしい香りがふわりと立ち上り、茶湯は透き通った橙黄色。飲み口はやわらかく、優しい余韻が心をほぐします。大紅袍のように力強くはなく、華やかすぎず素直な味わい。岩茶に初めて触れる方や、香りのよいお茶が好きな方におすすめの一杯です。
②老樹梅占(ろうじゅめいせん)
産 地:竹塢(ちくう)
特 徴:製茶後に自然とあらわれる梅の香りと華やかな花香に由来し、口に含むとふんわりとした梅の風味と花の香りが広がり、優雅で絵画的な余韻を残します。樹齢60年以上、年輪を重ねた茶樹だけが持つ、深い木質香と青苔を思わせる“叢味(そうみ)”が際立ち、奥深い滋味が味わえます。かつて栽培の難しさゆえに多くの茶樹が伐採され、いまや生産量はごくわずか。今残る老樹の茶葉は、茶農家にとってもまさに“宝”とされています。
④水簾洞肉桂(すいれんどうにっけい)
産 地:水簾洞
特 徴:通称「水肉」と呼ばれ、武夷岩茶の中でも特に個性豊かな“水仙型肉桂”です。水簾洞は滝の水しぶきが立ちこめる湿潤な渓谷地帯で、この独特の環境により、肉桂らしいスパイシーな品種香に加えて、水仙が持つやわらかく滑らかな口当たりが融合。まさに“剛と柔”を兼ね備えた、唯一無二の存在です。主張しすぎない上品な香りは、蘭の幽玄な香気、苔のような静けさ、そしてほのかなミネラル感が一体となり、静かな余韻を残します。